4-2.【チームで最大化する】コミュニケーションガイド

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内容

チームメンバーとのコミュニケーション概要

ディレクターとデザイナーは長期的な関係性を築きながら、複数の案件を継続的に進行していく理想的な体制を目指します。その中で特に重要なのがフィードバックの質とコミュニケーションの効率性です。

フィードバックの基本原則

フィードバックで最も重要なのは、伝えるだけでなく、伝えたことが実際にアウトプットに反映されるかどうかです。受け取る側が受容しやすく、実行したいと思えるフィードバックができるかが成否を分けます。

フィードバックの4ステップ

1. 敵対性の排除

フィードバックは本質的に否定を伴うため、受け取る側が必要以上に萎縮しないよう配慮が必要です。

  • 「否定ではなく、同じゴールに向けて改善していく」スタンスを明確に伝える
  • 「あなたが悪いわけではない」ということを前提として共有
  • 何が良かったのかも合わせて伝える

2. 具体的なフィールド

改善すべき箇所を具体的に指摘し、その理由も併せて説明します。

  • 「ここをこういうふうにした方がいい」という具体的な指示
  • 「なぜならこうだから」という背景や理由の共有
  • Whyの部分を伝えることで、具体的指示で漏れがあっても正しい方向に収束しやすくなる

3. 現在地の明確化

理想と現状のギャップを数値化して伝えることで、どれだけの改善が必要かを明確にします。

  • 「デザイナーは8割完成と思っているが、クライアント期待値では6割程度」
  • 「このギャップを埋める必要がある」
  • 次の段階で何を期待しているかを明確に伝える

4. ネクストステップの提示

次にどのような段階に進むべきかを具体的に示します。

  • 「リサーチ段階」「世界観の摺り合わせ」「詳細調整」など段階を明確化
  • 各段階で期待するアウトプットを具体的に伝える

フィードバックの実行ポイント

最速で返す

フィードバックは緊急性が低く感じられがちですが、最速で返すことでデザイナーの稼働効率が大幅に向上します。

全体像を俯瞰する

ディレクターは全体の流れを把握し、「次はこれが上がってくるだろう」「最終的にはこう落ち着くだろう」という見通しを持った上でフィードバックを行います。

フィードバック方法の優先順位

  1. 動画(最優先) - 画面共有しながら話すことで、細かなニュアンスや印象を正確に伝えられる
  2. 音声 - 文字よりもニュアンスが伝わりやすい
  3. コメント機能 - FigmaやGoogle Driveなどのツール内で直接コメント
  4. テキスト - 最低限の選択肢

動画は効率的で情報量が多く、ディレクター自身の思考整理にも役立ちます。一度録画して内容がまとまらなかった場合でも、再録画時にはより整理されたフィードバックができます。

フィードバック時の3つの視点

1. デザイン的視点

  • 配色、レイアウト、文字など、視覚的な改善点
  • ブランドステップに基づいた世界観の統一
  • カーニング、余白などの細かな調整

2. ビジネス的視点

  • 目的に対して適切なビジュアルになっているか
  • マーケティング的な観点での効果
  • プロジェクトとして持ってきたい成果を実現できているか

3. プロジェクト視点(最も重要)

  • クライアントの期待値に対する適切性
  • 進行管理やスケジュール調整
  • クライアントとのやり取りで得たニュアンスの反映

この3つ目の視点が特に重要で、クライアントとの直接的なやり取りが多いディレクターならではの価値を発揮できる領域です。

心理的安全性とモチベーション管理

心理的安全性の構築

  • 「この人に対して大丈夫かな?」「否定されないかな?」という不安を取り除く
  • 信頼関係を築き、ゴール達成のためのフィードバックであることを理解してもらう
  • ラポール形成を意識した関係性づくり

内発的モチベーションの向上

外発的動機(ミスを避ける)だけでなく、内発的動機(自発的にやりたいと思う気持ち)を引き出すことが重要です。

  • 責任感 - プロジェクトに対する当事者意識
  • 意義 - 仕事の意味や価値の理解
  • 達成感 - 成長や成果の実感
  • 有効感 - 自分の貢献が認められている実感
  • 自己決定 - 自分で判断し決定できる余地

これらの要素を意識したフィードバックにより、デザイナーが主体的に取り組める環境を作ることができます。

長期的な関係性の構築

優秀なチーム作りができるディレクターは、心理的安全性を保ちながら効率的に案件を進めることができます。特にオンラインでのやり取りが中心となる現在の働き方では、このコミュニケーション能力の差が大きな成果の差となって現れます。

「この人と仕事をしたい」と思ってもらえるディレクターになることで、優秀なデザイナーと継続的に協業できる体制を築くことができます。

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