提案力を高める実践テクニック

「未来」から逆算する提案手法 - 手段ではなく結果を売る

「このLPなら、きっと売上が上がりますよ」

こんな曖昧な提案をしていませんか?実は、クライアントが本当に買いたいのは「LP」という手段ではなく、「売上が上がる」という結果なのです。

優れた提案とは、クライアントが実現したい未来を鮮明に描き、そこに至る確実な道筋を示すこと。この章では、相手の心を動かし、「ぜひお願いしたい」と言わせる提案の技術をお伝えします。

なぜ多くの提案が刺さらないのか

「機能」を売ろうとする罠

よくある失敗提案

「弊社のLPは、最新のデザイントレンドを取り入れ、
レスポンシブ対応で、SEOも考慮した設計になっています」

聞いている方は「...で?」という気持ちになります。なぜなら、これらは全て「手段」の話だからです。

本当に売るべきもの

心に刺さる提案

「3ヶ月後、問い合わせが今の2倍になっているとしたら、
〇〇様のビジネスはどう変わりますか?

実は、同じ業界のA社様も同じ悩みを抱えていましたが、
LPの改善で問い合わせ数が2.3倍になりました。

その結果、月商が500万円から1,150万円に。
浮いた広告費で新商品の開発にも着手されています。

〇〇様も、同じような未来を描いてみませんか?」

この違い、感じていただけるでしょうか?人は「変化した後の自分」にお金を払うのです。

未来逆算型提案の5ステップ

ステップ1: 理想の未来を共有する

なぜ重要か

ゴールが明確でない提案は、どんなに素晴らしくても響きません。まず、クライアントが望む未来を一緒に描きます。

実践方法

「もし予算や技術的な制約が一切なかったら、
1年後、どんな状態になっていたら最高ですか?」

「その時、売上はどれくらいになっていますか?」
「チームはどんな風に働いていますか?」
「お客様からはどんな声をもらっていますか?」

プロのコツ

数字だけでなく、感情面での変化も聞き出す。「その時、〇〇様はどんな気持ちですか?」という質問で、より鮮明なイメージを作ります。

ステップ2: 現状とのギャップを可視化

なぜ重要か

理想と現実のギャップが大きいほど、行動への動機が強くなります。ただし、責めるのではなく、一緒に確認するスタンスが大切。

ギャップ分析の例

営業:「理想は月商1,000万円、現状は300万円ということは、
      700万円のギャップがありますね」

クライアント:「そうなんです...」

営業:「でも、逆に言えば、3倍以上の伸びしろがあるということ。
      そのポテンシャルを引き出すお手伝いをさせてください」

ステップ3: ボトルネックを特定

なぜ重要か

全てを改善しようとすると、結局何も変わりません。最も効果の高い一点を見つけることが重要です。

ボトルネック発見の質問

「もし1つだけ魔法で解決できるとしたら、何を選びますか?」
「今、最も時間を取られていることは何ですか?」
「売上アップの最大の障壁は何だと思いますか?」

ステップ4: 解決策を段階的に提示

なぜ重要か

一度に全てを変えようとすると、相手は圧倒されてしまいます。小さな成功から始めて、徐々に拡大する提案が効果的です。

段階的提案の例

「まず第1弾として、最も効果の高いLPの改善から始めましょう。
ここで成果を実感していただいたら、

第2弾で、LINE登録後の自動化システムを構築。
そして第3弾で、広告運用も含めたトータルサポート。

このように段階的に進めることで、
リスクを最小限に、効果を最大限にできます」

ステップ5: 成功イメージを具体的に描く

なぜ重要か

人は、成功している自分の姿をイメージできると、行動に移しやすくなります。

成功イメージの描き方

「3ヶ月後の〇〇様を想像してみてください。

朝、メールを開くと、問い合わせが5件も入っている。
しかも、全て優良顧客になりそうな内容。

『最近、問い合わせの質が上がったね』とスタッフも喜んでいる。
月末の売上レポートを見ると、過去最高を更新。

そんな毎日、ワクワクしませんか?」

価格提示の心理学 - アンカリング戦略

アンカリングとは

最初に提示された数字が基準(アンカー)となり、その後の判断に影響を与える心理効果です。

効果的なアンカリングの実践例

1. 他社比較アンカリング

「大手制作会社だと、同じ内容で300万円は下らないでしょう。
フリーランスだと30万円かもしれませんが、品質は保証されません。

弊社の場合、大手品質を80万円でご提供できます」

2. 投資対効果アンカリング

「月商300万円が500万円になれば、差額は200万円。
年間だと2,400万円の売上増加です。

それに対して、今回の投資は80万円。
投資の30倍のリターンが期待できる計算です」

3. 分割アンカリング

「80万円と聞くと大きく感じるかもしれませんが、
1日あたりに換算すると約2,200円。
カフェのコーヒー4杯分で、ビジネスが変わると考えれば...」

価格提示のタイミング

ベストなタイミング 1. 価値を十分に伝えた後 2. 相手が「欲しい」と感じた瞬間 3. 比較対象を示した後

NGなタイミング 1. 最初の5分以内 2. 相手が疑問を持っている時 3. 信頼関係ができる前

期待値コントロールの重要性

なぜ期待値管理が必要か

期待値が高すぎると、どんなに良い仕事をしても満足してもらえません。逆に低すぎると、受注自体が難しくなります。

期待値を適切に設定する方法

1. できることとできないことを明確に

「デザインの力で、サイトの印象は確実に変わります。
ただし、デザインだけで売上が10倍になることはありません。

デザインは『商品の魅力を最大限に伝えるツール』です。
商品自体の改善や、適切な集客も並行して必要です」

2. 成功事例と失敗事例の両方を共有

「A社様は3ヶ月で売上が2倍になりましたが、
これはデザイン改善と同時に、商品ラインナップも見直したからです。

一方、B社様はデザインだけに頼った結果、
最初の1ヶ月は変化がありませんでした。
その後、総合的な改善で成果が出始めました」

3. 段階的な成果を約束

「すぐに劇的な変化は期待しないでください。
でも、1ヶ月後には『何かが変わった』と感じ、
3ヶ月後には数字で実感できるはずです」

説得力を高める6つのテクニック

1. ストーリーテリング

なぜ効果的か

人は論理より物語を記憶します。成功事例を物語として伝えることで、強い印象を残せます。

実践例

「C社の社長は、毎晩遅くまでスライド作りに追われていました。
ある日、『このままじゃ、本業がおろそかになる』と危機感を持ち、
弊社にご相談いただきました。

最初は半信半疑でしたが、1ヶ月後...
『こんなに楽になるなんて』と驚かれていました。

今では浮いた時間で新規事業を立ち上げ、
売上は当時の3倍になっています」

2. 社会的証明

なぜ効果的か

他の人も使っているという事実は、強力な説得材料になります。

実践例

「実は、〇〇業界では、上位10社のうち7社が
弊社のサービスをご利用いただいています」

「先月も、同じ地域の△△社様から追加発注をいただきました」

3. 限定性・希少性

なぜ効果的か

「いつでも買える」ものより「今しか買えない」ものの方が、行動を促します。

実践例

「実は、品質維持のため、月に3社限定でお受けしています」
「このキャンペーン価格は、今月末までの特別価格です」
「〇〇様の業界は、まだ1社も担当していないので、
独占的にサポートできます」

4. 対比法

なぜ効果的か

2つの選択肢を比較することで、優位性が明確になります。

実践例

「確かに、内製化という選択肢もあります。
ただ、デザイナーを1人雇用すると、
月給30万円+社会保険で、年間500万円以上。

一方、弊社なら必要な時だけ、
プロのスキルを月額10万円から使えます」

5. 数字の魔法

なぜ効果的か

具体的な数字は、曖昧な表現より説得力があります。

実践例

❌「多くのお客様に満足いただいています」
✅「導入企業の93%が、3ヶ月以内に効果を実感」

❌「かなり時間を節約できます」
✅「平均して、月40時間の作業時間を削減」

6. 保証とリスクリバーサル

なぜ効果的か

相手のリスクを軽減することで、決断のハードルが下がります。

実践例

「もし1ヶ月試して効果を感じられなければ、
全額返金いたします」

「まずは1案件、特別価格でお試しください。
満足いただけたら、継続をご検討ください」

プレゼンテーションの極意

資料に頼らない提案

なぜ重要か

資料を読み上げるだけの提案は、相手の心に響きません。資料は補助ツールと割り切りましょう。

効果的な使い方 - 重要なポイントだけビジュアルで示す - 相手の反応を見ながら、必要なページだけ使う - 数字やグラフは資料で、想いは言葉で伝える

間と緩急の使い方

プロの話し方

通常:「このLPで、売上が上がります」

プロ:「このLPで...(間)売上が、上がります」
     「なぜなら(早口で)」「大切なポイントが(ゆっくり)」

間を使うことで、重要な部分が際立ちます。

よくある質問への準備

「他社より高い」と言われたら

「確かに価格だけ見れば高く感じるかもしれません。
でも、安さで選んで失敗した経験はありませんか?

弊社の価格には、7年間300社の実績と、
確実に成果を出すためのノウハウが含まれています。

結果的に、最もコストパフォーマンスが高い選択になるはずです」

「検討します」と言われたら

「ありがとうございます。重要な決断ですから、
じっくり検討していただくのは当然です。

ちなみに、どの部分に懸念を感じられていますか?
もし私から追加で説明できることがあれば...」

「予算がない」と言われたら

「予算の件、よく分かります。
ただ、これは『費用』ではなく『投資』として
考えていただけませんか?

月10万円の投資で、月50万円の売上増が見込めるなら、
実質的にはプラスですよね。

分割払いもご用意していますので、
キャッシュフローに無理のない形で始められます」

実践チェックリスト

提案前の準備 ✅ クライアントの理想の未来を聞き出したか ✅ 現状とのギャップを数値化したか ✅ 成功事例のストーリーを用意したか ✅ 想定される質問への回答を準備したか

提案中の確認 ✅ 相手の目を見て話しているか ✅ 「一緒に」という言葉を使っているか ✅ 相手の反応を確認しながら進めているか ✅ 次のアクションを明確にしているか

提案後のフォロー ✅ 24時間以内にお礼メールを送ったか ✅ 追加資料や情報を提供したか ✅ 決断の期限を確認したか ✅ 次回の連絡日を決めたか

まとめ - 提案は「共創」のスタート地点

素晴らしい提案とは、クライアントと一緒に未来を描く共同作業です。

あなたが売るのは「サービス」ではなく「変化」。 提示するのは「価格」ではなく「投資対効果」。 約束するのは「作業」ではなく「成果」。

この意識を持って提案すれば、クライアントはあなたを「業者」ではなく「パートナー」として見てくれるようになります。

今日から実践すること

✅ 次の提案では、まず理想の未来を聞く ✅ 手段ではなく結果にフォーカスした話し方をする ✅ 成功事例を1つ、ストーリーとして準備する

提案力は、練習で必ず向上します。 さあ、次の商談で早速試してみましょう!

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